社長コラム

社長コラム 2009

第51回(10月6日)『ノーベル賞は創薬につながるか』

今年もノーベル生理学・医学賞が発表されました。「テロメアとテロメラーゼ酵素が染色体を保護する機序の発見」をしたElizabeth Blackbum博士,Carol W. Greider博士,およびJack W. Szostak博士が,来る12月10日にスウェーデンのストックホルムにあるカロリンスカ大学にて表彰されることになりました。

昨日行われたこの発表は,抗腫瘍ウイルスであるテロメライシンを開発している当社としても,大変に誇り高く名誉なことだと感じています。その一方で,テロメラーゼの機能を応用する当社の技術が確かなものとして世に受け入れてもらえるよう,ノーベル賞の名に恥じない開発を行わなければならないと思うと,身が引き締まる思いです。更に,血中浮遊がん細胞診断薬として開発中のテロメスキャンには,昨年やはりノーベル化学賞の受賞対象となったクラゲの緑色蛍光蛋白「GFP」遺伝子が組み込まれており,ダブル受賞ウイルスとなりました。

当社には更に,抗HIV薬OBP-601があり,これは昨年のノーベル生理学・医学賞の対象となった「ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の発見」につながり,また抗HCV薬OBP-701は2006年度の同賞対象となった「RNA干渉―二重鎖RNAによる遺伝子サイレンシング―の発見」の技術を応用しています。

このように,当社の創薬テーマにはそれぞれ世界で認められた一流の技術が応用され,既に臨床開発段階にまで達していて,そしてそれなりの効果と安全性が今日までに報告されています。ノーベル賞も,その受賞だけでは人類を救うことは出来ず,それがいろいろな方面で応用され,人の役に立ち,それが人々から評価されてこそ初めてよい発見であったという証左になると思います。

ノーベル賞だから医薬品になる,と言うほど医薬品開発は生易しいものではなく,当社の創薬プロジェクトもこれから数多の壁に突き当たり,その都度それを乗り越えてゆかねばならないのは,ノーベル賞以外のテーマと同じことです。とはいえ,創薬には莫大な資金が必要であり,ノーベル賞技術を応用したテーマにはそれなりの資金が集まってくれることを,日々願うばかりです。

第50回(1月2日)『年頭所感』

浦田社長の年頭にあたってのコラムが
『2009年新春展望、オンコリスバイオファーマ浦田泰生社長、良い医薬品をいち早く、という目標をもう一度見定める』というタイトルで"バイオテクノロジージャパン"に掲載されました。

ぜひ、こちらからお読みください。 > http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?id=20058600